工程表は、現場の工程を管理する上で欠かすことができないものです。
また工程表は、現場にかかわる多くの人が参考にするため、「見やすさ」は重要なポイントです。
工程表が見にくくて作業内容や期間がわかりづらいと、作業が予定通り進捗せず工期の遅れにつながることも考えられます。
この記事では、工程表の概要と作成する目的、工程表の種類について解説します。
また、見やすい工程表を作成するためのポイントを詳しく説明しています。
見やすい工程表を作成したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧いただき参考にしてください。
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見やすい工程表が大事な理由
工程表は工事にかかわる多くの方に周知され、工事の竣工という一つの目標のため共有されます。
そのため、工程表の見やすさは大事なポイントです。
見やすい工程表の作り方のポイントとして、下記の3つについて解説します。
- 工期遵守と適正な工期短縮
- コスト削減と作業効率の向上
- トラブルの回避と適切な対処
工期遵守と適正な工期短縮
見やすく的確な工程表は、工程と実際の現場の進捗状況との比較を容易にし、工事に携わる全員の工期遵守に対する意識を高めます。
週間・月間でのスケジュール管理の積み重ねが、結果的に全体工期の遵守に結びつくことも自然に認識されていくでしょう。
建設工事では、できる限り起伏の少ない平準化した工程管理が求められます。
そのほうが原価や品質をコントロールしやすくなるからです。
見やすく適切な工程表を活用した工程管理は、無駄や無理がなくなり、適正な工期短縮につながって工事関係者に心理的な余裕を生みだします。
また、発注者からの信頼獲得にも繋がります。
コスト削減と作業効率の向上
計画的に細部まで検討された、見やすい工程表は、コストの削減にも大きく役立ちます。
事前に資材の発注量や搬入時期を検討することで、不必要な在庫を抱えたり、必要な時に資材が間に合わなかったりというミスがなくなります。
建設機械や使用機器のレンタル期間なども無駄のない手配も可能です。
十分に検討された工程表は、所要日数が明記されているので、日数を上回りそうな作業をいち早く見つけだすことができます。
そして遅延の原因を工事関係者全体で検討して、作業効率を向上させることも可能です。
トラブルの回避と適切な対処
工程表の作成段階では、工事の課題になりそうな事柄が浮かび上がることもあります。
その課題を工期内に解決するために、工法や資材、人員などの再検討が必要になることもあります。
このような課題を事前に察知できるかどうかは、工事の運営上大きな違いとなり、トラブル回避として有効です。
また、実際に現場で不測の事態が起こっても、全体工程の管理が確実にできていれば適切な対処と工程の調整を行うための余裕ができます。
そのため事前の計画では、ただ詰め込むだけではなく、予備日としての空白期間も意識しておく必要があるでしょう。
工程表の種類
見やすい工程表を作るためには、各工程表の違いを知っておくことも大切になります。
対象となる工事の内容や管理のポイントでは、どの工程表が最適かを検討する必要があるからです。
代表的な5つの工程表について解説します。
- バーチャート工程表
- ガントチャート工程表
- グラフ式工程表
- ネットワーク工程表
- 出来高累計曲線工程表
バーチャート工程表
バーチャート工程表は、縦軸に作業の名称、横軸に時間軸を記載して、横棒で各作業の進捗度を示します。
バーチャートは短時間で作成できて、修正や管理も簡単に行えるのが特徴です。
現場のスケジュールの概要がひと目で把握できます。
注意点としては、他作業との関連性がわかりにくく、大規模で複雑な工事には向いていません。
ガントチャート工程表
ガントチャート工程表は、縦軸に作業工程、横軸に作業の進捗率を記載します。
その他に作業単位での期間や作業担当者、マイルストーンなどを記入し工程の進捗を管理します。
ガントチャートは、工事の全体像を可視化できるので管理がしやすくなります。
トラブルや遅延の把握もしやすいです。
注意点は、作成に手間がかかること、工数を把握しにくいなどの点が挙げられます。
またトラブルや遅延が発生すると、全体的に工程を組み直す必要があるため変更の多い工事には向いてないです。
グラフ式工程表
グラフ式工程表は、縦軸に進捗率、横軸に日時を記載して曲線で進捗度合いを表します。
バーチャート工程表とガントチャート工程表の両方の特徴を持っており、各作業の進捗状況を把握しやすいです。
作業の遅延が、どの作業工程に影響するかも把握できます。
作成方法が複雑なため活用や理解に時間がかかること、各工程の関連性が分かりにくい点などには注意が必要です。
ネットワーク工程表
ネットワーク工程表は、作業単位ごとにかかる日数、各作業の関連性などを視覚的に把握できる工程表です。
規模が大きく、複数の工種がある建設工事で広く活用されています。
最も時間がかかる工事ルートを特定して、竣工までの最短期間を求めることができるので、工期の適切な短縮にも役立ちます。
ただし、作成には専門的な用語や再生ルールの把握が必要で、他の工程表に比較すると作成の難易度は高いです。
また各作業単位の進捗状況の把握には不向きなので、他の工程表との併用が必要になります。
出来高累計曲線
出来高累計曲線では、縦軸に進捗率、横軸に日数を記載した工事全体の進捗状況の把握に特化した工程表です。
ただし、各作業単位での進捗は確認できません。
表全体がS字曲線を描き、この曲線を見れば、スケジュールがどのくらい遅れているかなどの状況が一目で把握できます。
注意点としては、作成方法がやや難しいこと、作業手順が分からないことなどが挙げられます。
見やすい工程表を作るコツ
建設現場は、多くの関係者の協同作業によって成立しています。
そのため、工程表は関係者全員に周知され共通の指標となるので、誰にとっても見やすいことが求められます。
見やすい工程表を作るポイントとして、下記の5つについて解説します。
- わかりやすい用語を使う
- 情報を詰め込み過ぎない
- シンプルなデザインにする
- 期間の設定の切り替えができる
- 印刷したときのことを考える
わかりやすい用語を使う
現場では専門的な用語を使用することが多いです。
しかし工程表は現場作業者だけが見るとは限らず、発注者や他の部署の方が見ることもあります。
専門用語ばかりが目立つ工程表ではわかりにくいため、誰もが理解できる、わかりやすい用語や表現を使う必要があります。
情報を詰め込み過ぎない
工程表は情報を詰め込み過ぎず、知りたいポイントがすぐにわかることも重要です。
説明的な表現は最低限に抑えて、項目ごとに簡潔さが求められます。
たとえば、工事場所と作業内容を明確にして並列的に作成すると、情報を整理できて進捗状況を把握しやすいです。
シンプルなデザインにする
工程表は、装飾を最低限に抑えた、シンプルなデザインのほうが好まれやすいです。
華美や奇抜さを狙うと肝心な情報に集中しにくくなります。
重要なポイントを赤や青で強調したりマーキングしたりする程度にして、過剰なカラフルさは避けるほうが無難です。
また、フォントやサイズの統一感も見やすさを考える上では大切です。
期間の設定の切替ができる
工程表は見る方の立場によって、求める期間の設定を切り替えたほうがいい場合があります。
日単位の工程表は現場で働く作業者にとっては重要ですが、管理職や役員には週単位や月単位の工程表のほうが需要は高いでしょう。
工程表を利用するユーザーに応じて、期間の設定の切り替えができるようにしておくことをおすすめします。
印刷したときのことを考える
工程表は、PCやモバイルの画面上で確認するだけでなく、プリントアウトして掲示する場合もあります。
実際に印刷しても、見やすいことを確認するようにしましょう。
印刷してみると、文字や図の大きさが的確でなかったり、ページの区切りがずれていたりすることがあるので注意が必要です。
見やすい工程表の作り方
工程表の作成方法の種類として代表的なものには以下の3つがあります。
それぞれ説明しますので参考にしてください。
- 手書き
- エクセル
- 工程管理システム
手書き
紙面に手書きで工程表を作成する場合、自由なレイアウトで工程表を作成できます。
また小規模・少人数の工事の工程表であれば手書きの工程表で十分です。
手書きで作成した紙面自体を紛失してしまうというケースが考えられるので、PDFデータにして記録を保持しておくことをおすすめします。
エクセル
普段、使い慣れているエクセルを使用して工程表を作成する方は多いです。
図形や図表を取り入れやすいので、手書きよりも分かりやすく見やすい工程表を作成できます。
すでにエクセルを活用している企業・個人がほとんどなので、新たな導入費用の必要がなく、企業間・個人間の共有もしやすいでしょう。
Web上には、エクセルだけで作れる各工程表の書式テンプレートが数多く存在し、無料でダウンロードできるものも多いです。
工程表アプリ
見やすい工程表を効率的に作ろうとする時、工程表アプリを活用する方が増えています。
まず工程表アプリは、工程表を作成するためのテンプレートを搭載していることが多いため、1からエクセルで作成するよりも大幅に時間を削減できて効率的です。
複数の現場の管理を任されたとしても、工程表アプリがあれば、スマホ・タブレット端末でも現場ごとの管理ができます。
結果的に業務時間の短縮や人件費の削減になり、生産性の向上にもなります。
ほとんどの工程表アプリは、直感的な操作性のツールが多く、導入のハードルが低いことも魅力です。
自社のシステムに合った工程表アプリの導入の検討をおすすめします。
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まとめ
ここまで、見やすい工程の重要性や作成方法のポイントなどについて解説してきました。
主な内容は以下の通りです。
- 工程表の概要
- 工程表を作成する目的
- 工程表の種類
- 見すい工程表作成のコツ
- 見やすい工程表の作り方
工程表は、工事の竣工という一つの目標に向かって協同作業する関係者全員に周知され共通の指標となります。
そのため、誰にとっても見やすいことが大変重要です。
また適切な工程表は、工期の厳守はもちろん、作業の効率化やコスト削減にも貢献するツールです。
見やすさと実用性を兼ね備えた工程表の作成を目指しましょう。