ウェアラブルカメラは、工事現場の状況をライブで確認できるため、実用性の高いデバイスとして導入する企業が急速に増えています。
ただウェアラブルカメラの導入を検討するとき、以下のようなことが気になるのではないでしょうか。
- 導入にはどんなメリットがあるのか
- 実際の活用事例を知りたい
- 機器を選ぶときのポイントは?
- おすすめ機種とその機能比較
この記事では、ウェアラブルカメラの概要、導入のメリット、選び方のポイント、実際の活用事例、おすすめ機種について解説しています。
これからウェアラブルカメラを導入して活用したいという方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
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工事現場を変えるウェアラブルカメラとは?

建設現場でのICT活用が急速に進むなかで、今一番注目されているのがウェアラブルカメラです。
ウェアラブルカメラとは「身に着けることができるカメラ」という意味になります。
ウェアラブルカメラは、現場の技術者や作業者がヘルメットや胸ポケットに装着して使用します。
カメラで現場の状況をライブ動画で撮影しながら、内蔵されているマイクやスピーカーを通して、遠隔地とコミュニケーションできるというのが特徴です。
たとえば、わざわざ本部から人を来させて、現場の立会や段階確認をする必要がなくなります。
移動時間の大幅な削減が可能になります。
またカメラの設定や録画など細かな作業は、本部からできる機種を選べば、現場側はハンズフリーでカメラ本体をON/OFFするのみです。
現場作業を中断させることなく撮影できる点もメリットとなっています。
令和4年3月、国土交通省は「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領」を公表しています。
その実施要領のポイントは2点あります。
- 対象工事|遠隔臨場の対象工種のある工事は、原則全ての工事が対象
- 費用|遠隔臨場実施にかかわる費用の全額を技術管理費に積上げ計上
このことからも分かるように、国土交通省が動画撮影用カメラの活用を推進しているため、今後もウェアラブルカメラの普及は広がっていくと考えられます。
工事現場にウェアラブルカメラを導入するメリット
遠隔現場とのコミュニケーションに欠かせない存在となりつつあるウェアラブルカメラですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
工事現場にウェアラブルカメラを導入するメリットを3点に集約して説明します。
時間と費用の軽減でコスト削減
ウェアラブルカメラがあれば、リアルタイムで現場状況を共有できるため、人の移動を大幅に減らすことができます。
これまで移動にかかっていた時間と費用が軽減され、コスト削減が可能になります。
現場立会や段階確認は、発注者や本部担当者がわざわざ遠隔現場まで赴いて行われるのが一般的です。
しかしウェアラブルカメラを通じて行えば、担当者はパソコンさえあればどこからでも臨場できます。
本部が現場のリアルな進捗状況を知りたいとき、現場でトラブルが発生し本部の指示が必要な時なども、時間や費用をかけずにライブで確認することができるのです。
このように、ウェアラブルカメラを活用すれば、人の移動のための時間と費用を大幅に軽減させることができます。
生産性の向上で人材不足を解消
ウェアラブルカメラを活用することで、建設現場の生産性の向上による人材不足解消への期待が高まっています。
建設業界では、建設現場の生産性の低さや人材不足、現場技術者の長時間労働などが問題となってきました。
ウェアラブルカメラを利用すれば、現場技術者はオフィスワークと並行して現場作業者に指示をすることが可能になります。
これまで移動にかかっていた時間を有効に活用でき、生産性を向上させることができます。
またウェアラブルカメラがあれば、建設現場にかかわるすべての部署が現場のリアルな状況をライブで、いつでもどこからでも確認可能です。
その結果、現場状況に迅速に対応できるようになり、伝達ミスや思い違いが少なくなって生産性が高まり人材不足の解消につながります。
現場の業務効率化と安全性向上
ウェアラブルカメラを通じて、現場と遠隔地がリアルにつながれば多くの場面で業務が効率化され安全性が向上します。
たとえば若手の作業者が作業手順に迷ったりミスをしたときに、熟練作業者に現場を直接見せながらアドバイスを受けることができます。
現場に搬入された資材が注文品と違う場合、現品を撮影しながら本部に交換や再注文の依頼をすることが可能です。
現場作業者がウェアラブルカメラを装着しながら現場を巡回し、本部担当者が独自の視点で現場の危険予知を知らせることもできます。
同じ現場に長くいると気づきにくい危険を、本部担当者なら気づけることも多々あるものです。
このようにウェアラブルカメラの活用は、現場の業務効率化と安全性向上に貢献します。
工事現場で使われているウェアラブルカメラの活用事例

遠隔臨場の新たなスタイルとして、工事現場での導入が進んでいるウェアラブルカメラが、実際にどのように活用されているのかを紹介します。
高力ボルト・現場予備試験の立会・段階確認
高架橋鋼の上部工事において行われた「高力ボルト現場予備試験」で、ウェアラブルカメラが活用された事例です。
現場作業員が装着したカメラによる映像を主張所でモニターすることで、発注者が現場に臨場することなく立会・段階確認が行われました。以下は良い点と悪かった点です。
良かった点
・移動と支度の時間(50分)を短縮できた
・映像は十分精細で音質も良かった
・記録として残るので問題時に確認できる
・省力化につながる実感を得られた悪かった点
引用元:https://www.cbr.mlit.go.jp/architecture/kouritsuka/data/eizou_jirei_01.pdf
・逆光だと映像が見えにくい
・安全帯と併用すると装着しづらい
道路工事おける法面工の立会・段階確認
次に、道路建設工事における法面工の立会・段階確認の活用事例です。工種は鋼矢板打込高の段階確認です。
現場技術員はVR型カメラを装着し、手元で機器を操作しました。今回も監督職員は現場臨場することなく確認を完了しています。
以下は良い点と悪かった点です。
良かった点
・日程調整の手間が緩和され、移動時間が短縮された
・工事検査だけでなく、突発事故や苦情対応にも活用できる悪かった点
引用元:https://www.cbr.mlit.go.jp/architecture/kouritsuka/data/eizou_jirei_01.pdf
・細かな数字や文字の確認がしづらかった
・VR型は高所や狭い場所での安全面に不安を感じた
地盤改良工事の立会・段階確認
山間部の地盤改良工事における使用材料、深度、基準高などの遠隔臨場による立会・段階確認の事例です。この事例でも現場技術者はVR型カメラを使用しています。
スラリー比重確認による材料検査、改良深度確認による段階確認の後、出来形、品質の各種項目が確認されました。
良かった点
・モニター画面や測定器の数値は十分読めた
・VR型ということもアあり、キャビン内の施工モニターも確認しやすかった悪かった点
引用元:https://www.cbr.mlit.go.jp/architecture/kouritsuka/data/eizou_jirei_01.pdf
・特になし
工事現場で活用できるウェアラブルカメラの選び方

検査などの遠隔臨場だけでなく、想定外のトラブルや緊急の打ち合わせにもライブで対応できるのがウェアラブルカメラの大きな特徴です。
ウェアラブルカメラは建設業だけでなく、製造業や設備管理など、さまざまな業種で活用されるようになっています。
ここでは、「工事現場での使用」にフォーカスして、ウェアラブルカメラの選び方について解説します。
ポイントは以下の3点です。
- 工事現場での使用に耐えるもの
- 双方向の通信・通話がスムーズ
- 価格や料金体系が適正
工事現場での使用に耐えるもの
ハードな工事現場での使用に耐えなければならないウェアラブルカメラは、操作性に優れていること、ブレ補正と防塵機能がついていることが条件として挙げられます。
工事現場では、作業しながらでも使えることが前提条件になるので、手元の動きの邪魔にならずに操作できるものを選ぶべきです。
工事現場内では移動や作業が活発になるので、ブレ補正機能も必須になります。
映像が常に見やすくなれば、遠隔地からの指示も出しやすく作業ミスにも気づきやすくなります。
土砂やがれきを扱うことも多い工事現場では、防塵機能にも注目が必要です。
現場で防塵除去や粉塵防止剤を使うことも必要ですが、ウェアラブルカメラ本体の防塵機能も欠かせません。
双方向の通信・通話がスムーズ
ウェアラブルカメラが市場に流通して間もない頃は、音声や映像が簡単に切れてしまったり、解像度が低くて文字や数字が見えにくかったりなどの問題提起が多くありました。
現在では、このような技術的な課題は、かなり解消されています。
しかし機種によっては、仕様自体が電波の送受信や「見やすさ」に強みを持っていないこともあるので注意が必要です。
- LTEやWiFiの内蔵
- HD高画質
- 双方向通話がスムーズに可能
- クラウド上で記録できる
- 国土交通省の要領対応
上記を必須条件として、候補とする機種を選ぶことをおすすめします。
価格や料金体系が適正
ウェアラブルカメラの価格や料金体系も、選ぶときのポイントの一つです。
建設会社によっては、ウェアラブルカメラを現場技術者が1人1台持ち、1つの現場で複数台が稼働することも珍しくありません。
また求める機能や形状によって、価格や料金は違ってきます。
現在、ウェアラブルカメラの料金体系にはいくつかあります。
- 本体のみを販売
- 本体と○ヶ月の配信サービスをセットで販売
- 月額配信サービス料(本体カメラを含む)として請求
- レンタル(1ヶ月~半年程度)
自社の営業規模や公共工事の受注量、Web環境などを考慮して、最適な料金体系を選びましょう。
本体のみの価格は1台数万円から十数万円、配信サービスは長期で1台1ヶ月当たり15,000円〜25,000円が相場です。
工事現場で活用できるおすすめウェアラブルカメラ【3選】機能・価格で徹底比較
需要が急速に伸びていることもあり、ウェアラブルカメラの本体や配信サービスの流通は右肩上がりです。
数ある機種の中から、どれを選ぶか迷われる方も多いでしょう。
ここでは、おすすめとして以下の3機種を紹介します。
- Safie(セーフィー) Pocket2 Plus
- 蔵衛門Cam(クラエモンカム)
- Xacti LIVE(ザクティ ライブ) XBPフルプラン
上記3機種は、通信・通話機能、画像解像度ともに優れており、国土交通省が公表している遠隔操作デバイスの要領とも適合していますので、ぜひ参考にしてください。
Safie(セーフィー)Pocket2 Plus | 蔵衛門Cam (クラエモンカム) | Xacti LIVE(ザクティライブ) XBPフルプラン | |
---|---|---|---|
価格(税抜) | 【通常プラン】 初期費用|15,000円月額料金|25,000円 【長期プラン】 初期費用|0円 月額料金|15,000円 | 135,800円 | cx-wl100w本体購入99,000円(税別)+3,980円╱月(税別)12ヶ月以上の契約が条件 |
サイズ(㎜)W×H×D | 84×55×30 | 58×89×27 | 66×12×60(本体ユニット)25×34×34(カメラヘッド) |
重量 | 180g | 170g | 約29.5g |
通信方式 | LTE内蔵 | WiHi/4GLTE | スマホ接続 |
ディスプレイ | 2インチLCDディスプレイ | 2.4インチ | ー |
バッテリー容量 | 4,200mAh(最大8h)取り外し不可 | 2,400mAh | ー |
防水・防塵 耐落下 | 防水・防塵(IP67) | 防水・防塵(IP67)耐落下200cm | 防水・防塵(IP67)カメラヘッドのみ |
動作温度 | -20~50℃ | 0~40℃ | ー |
接続端子 | DCジャック | USB TypeC | ー |
保証期間 | 各プラン保証有 | 12ヶ月 | ー |
Safie(セーフィー) Pocket2 Plus
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建設業関連での実績が多く、スーパーゼネコンからゼネコン、ネクスコやDaiwaHouseまで、大手での導入実績が特徴の製品です。
バッテリーと通信機能が内蔵されているので、初期設定なしでネットにつながり、カバーを下ろすだけで録画が開始されます。
録画中にフルHD写真を撮影することも可能です。
最大倍率8倍までズーム可能なので、対象物に近づけない場合も遠隔から撮影できます。
また、本体のマイクとスピーカーを通じて、現場から複数人の同時通話もできます。
簡単操作で無駄がなく、見やすくスムーズな会話を実現することができます。
全体的なバランスに優れていて、工事現場用として過不足のない、おすすめの製品だと言えるでしょう。
蔵衛門Cam(クラエモンカム)

面倒なアカウント登録作業が不要で、専用のQRコードを読み込むだけで事前準備完了です。
2023年3月に国土交通省が指定した遠隔臨場規格に対応しています。公共工事などで発注元から規格準拠を指定されても問題なく使用できます。
提供元は工事写真でお馴染みの蔵衛門。遠隔臨場だけでなく、電子小黒板入りの工事写真撮影も可能です。
現場で撮影した工事写真は、クラウドを通じてオフィスでキャプチャできるので、工事技術者の業務負担軽減につなげることができます。
また、この機種の特徴は、2mの高さから落としても大丈夫な耐衝撃性と、防水機能(IPX7)と防塵機能(IP6X)の高さです。まさにハードな工事現場に特化している製品と言えるでしょう。
Xacti LIVE(ザクティ ライブ)XBPフルプラン

このライブ映像デバイスと配信サービスの最大の特徴は、とにかくカメラが小さくて軽いことです。
眼鏡、胸ポケット、キャップ、ヘルメットなどに取り付けてスマホに接続して使用します。
軽くて小型だから、身に着けていても体に全く負担がありません。
「現場のリアルな目線映像をリアルタイムで共有」がこの機種のセールスコピーです。
現場と本部が映像・音声で双方向コミュニケーションをとり、クラウドを通じて動画データ・記録の送信ができます。
現場の通信状況に応じて画質を設定するスマートコントロール、光学ズーム級の高品質な映像をリアル配信するスーパーズームなどの機能を搭載しています。
強力なブレ補正と、回転しても水平を維持する撮影機能は、快適な遠隔臨場に欠かせない「映像の見やすさ」を提供し評価が高いです。
国土交通省の新技術情報提供システムに登録されており、2023年にデジタル大臣賞を受賞している優れものです。
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まとめ
建設会社での導入が急速に広がっている、ウェアラブルカメラについて解説してきました。
ウェアラブルカメラの概要と導入のメリット、そして活用事例や選び方、おすすめの機種についてです。
ウェアラブルカメラは、建設業の業務効率化や人手不足解消、技術の継承などに役立てることができます。
国土交通省が推奨しているICT導入による「働き方改革」に沿うものであり、積極的に取り入れていくべきものでしょう。
この記事がその検討材料の一つになることができていれば幸いです。