請求業務は、企業の売上計上に直結し、取引先に送付する請求書を作成する重要な業務です。記載ミスや請求漏れは、自社の不利益になるだけでなく信用問題にもなりかねません。
特に、建設業には業界特有の課題もあり、多大な労力と時間がかかってしまうのが請求業務です。そのため、建設業向けの請求管理システムを活用して業務を効率化している建設会社が増えています。
この記事では、建設業における請求管理の課題と請求管理システム導入のメリットや選び方について解説します。
また、建設業でおすすめの請求管理ステムを8製品ピックして紹介していますので、ぜひ最後までご覧いただき参考にしてください。
建設業における請求管理の課題
建設業の請求業務には、他業種と比べていくつか特有の課題があります。代表的なものを整理してみましょう。
複雑な請求内容
建設業では、1つの案件に複数の工程・業者・契約形態が絡みます。
- 工程ごとの出来高請求(工事の進捗率に応じて請求)
- 複数の下請・協力会社への再請求や分割請求
- 追加工事・変更工事など、契約後の金額変動への対応
上記のような複雑な請求構造が頻出し、結果としてエクセルや紙管理でミスの温床となっています。
書類業務の多さと手作業負担
請求書以外にも、出来高報告書、検収書、発注書控え、見積書などが同時に必要となるケースがあるのも建設業界ならでは。
これらがExcelや紙ベースでバラバラに保管されている場合、確認・照合・押印・郵送などに膨大な時間が発生してしまいます。
現場と経理の情報分断
現場担当が把握している進捗状況と、経理が管理する請求データが別々のシステムやExcelで管理されているケースも珍しくありません。
現場からの報告遅れや認識のずれにより、請求漏れや金額の誤り、締め処理の遅延といった問題が発生します。
さらに、経営層が原価や粗利をリアルタイムで把握できなければ、経営判断の遅れにもつながっていきます。
上記に加え、バラバラな請求タイミング、入金消し込み・債権管理など、会計上の問題が発生することもあります。このような背景から「見積→発注→出来高→請求→入金」までカバーするIT製品へのニーズが高まっています。
建設業が請求管理システムを導入するメリット

請求管理システムは、請求書作成や作業工数を減らし、自社にあったスケジュールで請求及び関連業務の効率化が可能です。
その結果、どのようなメリットがもたらされるのかを以下の3つのポイントで解説します。
- 請求業務のコスト削減
- 請求業務の一元化
- 人為的なミスや漏れの低減
請求業務のコスト削減
システムを導入することによって業務がペーパーレス化してコスト削減に繋がるだけでなく、郵送代行サービスがあるシステムを選べば、発送業務のコストダウンが可能です。
システムによっては、請求書の作成や発行が自動でできる機能、与信管理や入金督促が不要になる機能など、工数が大幅に減って人件費の削減ができます。
以上のような機能を利用するために費用はかかりますが、利用者のほとんどが大幅なコスト削減を実現しています。
請求業務の一元化
請求管理システムは、請求額の確定、請求書作成、請求書の封入・送付、入金の確認と消込、未回収金の督促、請求書の保管という一連の請求業務を一元化します。
さらにシステムによっては見積書や発注書と連携できるものもあります。
モバイル端末での請求書の発行・発送業務も可能で、リモートワークの現状に合っている点も大きなメリットです。
すべてクラウド上での一元管理となるので、業務全般の可視化も可能です。
人為的なミスや漏れの低減
これまでの紙やエクセルを使った手作業での請求業務で避けられないのが、人為的なミスや漏れでした。
しかし、請求管理システムを導入することで、多くの業務が自動化され人為的なミスや漏れは格段に低減されます。
システム導入にあたっては、自社の請求業務の改善したい点や継続したい点などの検討が必要です。
この過程で請求業務フローは改善され、ペーパーレス化や自動化をしていくので取引先の信頼感を高めることにも繋がります。

建設業向け請求管理システムの選び方

ここでは、請求業務を効率化し、コスト削減を実現する請求管理システムの選び方を下記の3点に集約し説明します。
- 必要な機能は網羅されているか
- 他システムとの連携は可能か
- 自社にあったサポート体制か
必要な機能は網羅されているか
請求管理システムを選ぶ際は、自社が必要としている機能は網羅されているかを慎重に調査・検討することが重要です。
必要とされる機能の例としては、改正された法的要件(インボイス・電子帳簿保存法)に対応しているか、モバイル対応の有無、検索管理や履歴管理、セキュリティ対策などが挙げられます。
また、自社のITリテラシーに合致した操作性のシステムを選ぶべきです。
他システムとの連携は可能か
会計ソフトなど既存システムがあれば連携の可否、活用したいエクセルデータがあれば利用できるかどうかの確認も必要です。
自社の請求業務フローを継続したい場合は、どこまでのカスタマイズが可能で、費用はどれくらいかかるかの事前の確認が欠かせません。
現行のソフトやデータとの連携機能があれば、無理のない電子化とスムースな導入を図ることができます。
自社にあったサポート体制か
請求管理システムを選ぶ際は、自社にあったサポート体制であるかのチェックも必要です。
どんなに優れたシステムも、導入や運用初期にはサポートが欠かせません。
ユーザーの要望をしっかりとヒアリングし、導入計画を提案、導入後も定期的な打ち合わせや協議の機会を設ける開発・運営会社が望ましいです。
また、どこまでが無償で、どこからが有償になるのかなど予算面も事前に確認することも忘れないでください。
【建設業向け】請求管理システムおすすめ8選
建設業の請求管理業務効率化に役立つ請求管理システムを8つ厳選して紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
気になった製品は、資料請求や公式サイトをチェックして導入を検討してみましょう。
サクミル:見積・実行予算・請求をクラウドで一元管理

サクミルのおすすめポイント
- 原価や利益率をリアルタイムで可視化
- 現場・営業・経理の情報連携を自動化
- Excel管理からの移行もスムーズ
| 機能・できること | 見積作成 原価管理 日報入力 請求書発行 工事台帳作成 粗利分析 実行予算管理など |
| 初期費用 | 無料 |
| 月額費用 | 9,800円(〜30アカウントまで左記金額) |
| 無料トライアル | あり(2ヶ月無料/専任コンサルタント付き) |
編集部コメント
サクミルは、建設業特化のクラウド型業務管理システムです。
見積から請求などのお金周りの情報に加え、案件管理/書類管理なども可能で、様々な情報を一気通貫で管理でき、Excel管理に比べて工数を大幅に削減できるでしょう。
現場や経理の入力内容はリアルタイムで反映、経営層は正確な原価・粗利を常に把握することができます。
初期費用は無料、月額も9,800円/30IDと中小建設企業でも導入しやすい価格帯。
資料DLの上、まずは2ヶ月間の無料トライアルで使用感を確認してみるのが良いでしょう。
Bill One請求書受領:請求管理システムを活用したい企業向け

Bill One請求書受領のおすすめポイント
- 様々な請求書をオンラインで受け取れる
- 請求書業務をデジタルで完結できる
- オペレーターによる高精度のデータ化
| 機能・できること | 仕訳入力機能(履歴からの仕訳自動生成も可能) 書類の代理保管 請求書発行も可能 |
| 初期費用 | 要問合わせ |
| 月額費用 | 要問合せ ※請求書の年間受領枚数に応じて変動 |
| 無料トライアル | 要問合わせ |
編集部コメント
Bill One請求書受領は、請求書の月次決算を加速させる請求書受領サービスです。
さまざまな形式・方法で届く請求書をオンラインで受け取り、請求書業務を効率化することで、企業経営における意思決定のスピードを向上させます。
申請・承認などのステータス管理は、拡張項目の追加ができるなど、ユーザー目線の機能も充実。
請求書原本の保管も代行してくれる為、自社保管の手間が削減できるのも嬉しいポイントです。
Bill One請求書受領の説明資料には、より詳細な点が分かりやすくまとまっているので是非下記から資料請求をしてみてください。
BUILDY NOTE

BUILDY NOTEのおすすめポイント
- 発注・請求・支払管理を案件単位で一元化
- 発注書・請求書の作成〜ステータス管理をクラウドで完結
- 実行予算と連動し「どこにいくら払うか」が即時にわかる
- 支払漏れ・請求漏れを防ぐアラート機能
- 関連書類(見積・図面・契約など)も案件に紐づけて管理可能
| 機能・できること | 発注書・請求書の作成(クラウド管理) 支払管理(支払予定日・金額・ステータス管理) 実行予算・原価と連動した請求進捗管理 協力会社別の支払一覧・支払遅延防止 案件ごとの請求/支払台帳作成 契約書・見積書・請求書のデータ一元管理 電子受発注との連携による漏れの自動防止など |
| 初期費用 | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ※プランによって変動あり |
| 無料トライアル | ◯(要問い合わせ) |
編集部コメント
BUILDY NOTE は、建設業の請求管理を効率化するための機能が充実しているシステムです。
発注書・請求書の作成から、支払管理・請求ステータス管理までを案件ごとに一元化できるため、紙やExcelでの請求管理と比べて作業負担やミスが大きく減らせます。
実行予算や原価とリアルタイムで紐づくため、「どの案件が黒字で、どこにいくら支払う必要があるのか」が常に可視化され、資金繰り判断にも役立ちます。
また、協力会社ごとの請求状況を一画面で把握できるため、支払漏れ・ダブルチェックの工数・督促対応などの事務負荷を軽減。
建設業特有の「案件が増えるほど複雑になる請求管理」を整えたい企業に適したシステムです。
請求管理だけでなく、工程管理・原価管理とも連携して使える点も特徴で、社内の情報統一と標準化に効果が期待できます。
Dijital Billder:一つのシステムで請求に関わる業務すべてを行いたい企業向け

Dijital Billderのおすすめポイント
- 建設業独特の業務(多様な工事細目や経費区分)に対応
- 見積・発注・請求書・経費積算のデータ・操作方法が統一
- 紙ベースの業務を電子化(データ化)して業務効率化
| 機能・できること | 作成機能(請求書・領収書・PDF化機能・形式の変換機能) 管理機能(検索・タグ付・履歴管理・電子帳簿保存) さまざまな原価管理・会計システムとの連携が可能 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 30,000円~ |
| 無料トライアル | × |
編集部コメント
Dijital Billderは、建設業にとって重要な工事と請求書が紐づき、工事ごとの請求書の取り扱いが可能です。
工種、相殺金額など、建設特有の項目にも対応しており、出来形調書や請求書明細などの付随資料も請求書とまとめて扱うことができます。
また、PDF化もできるので全ての請求書業務の電子化が可能です。
開発元の燈株式会社は、東京大学の松尾研究室発とのAIスタートアップであり、業界での期待度は高いです。
経営陣は若く、業歴も長いとはいえませんが、46都道府県350社以上の建設会社で稼働しており上場企業の導入実績もあります。
請求管理ロボ:請求・債権管理を一任できるシステムを導入したい企業向け

請求管理ロボのおすすめポイント
- 売掛金回収に精通した決済会社が開発したシステム
- サブスク完全対応で2回目以降の請求管理は自動
- 中小~大企業まで規模を選ばないソリューションを持つ
| 機能・できること | 請求書の発行・送付と債権管理の自動化 複数の決済手段の組み合わせが可能 請求データと入金データの突合せによる自動消込 |
| 初期費用 | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ |
| 無料トライアル | × |
編集部コメント
請求管理ロボは、月額性のサービスですが、請求件数などの条件によって費用は変動するので個別の費用算出には見積依頼が必要です。
導入から3ヶ月間は、運用が定着するまで併走支援型サポートを実施しており評価が高いです。
取引先ごとや自社の部署ごとに請求書のデザインや内容のカスタマイズが可能となっています。
独自の高速処理で10万件以上の請求書発行に対応している一方、小規模会社の完全アナログ業務を効率化するノウハウも持っています。
建設業においても債権管理は重要な業務であり、そこも効率化したい企業向けのソフトです。
Misoka:帳票の発行・作成をワンクリックで自動化したい企業向け

Misokaのおすすめポイント
- 請求書作成枚数が月10枚まで無期限で無料
- 売上レポートやステータス機能で請求業務を見える化
- 会計ソフト連携や売掛金の回収保証の付与あり
| 機能・できること | ロゴ、陰影を自由設定できるテンプレートで帳票作成 請求書の自動作成予約・自動メール送信 GSVファイル活用で請求書の一括作成が可能 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | プランにより変動あり |
| 無料トライアル | 〇 |
編集部コメント
Misokaには、スマホやタブレットの専用アプリがあり、見積書・納品書・請求書の作成が可能となっています。
シンプルな画面で直感的に操作ができて、メール送信だけでなく郵送代行の対応もできます。
チーム機能は、複数人で同時利用が可能で、メンバーで担当する取引先を振り分けることができるサービスです。
他メンバーが作成した帳票の閲覧・編集・郵送・メール送信を行うこともできます。
「弥生 請求書カード払い」や「フリーナンスforユーザー」は、借入なしの資金調達サービスとして活用することができます。
MakeLeaps:さまざまな連携で包括的に業務の効率化をしたい企業向け

MakeLeapsのおすすめポイント
- デフォルトだけでなくカスタムテンプレートの設定が可能
- 作成した書類を一覧で可視化して検索も簡単にできる
- グッドデザイン賞も受賞した直感的でわかりやすい操作画面
| 機能・できること | 作成可能な書類は、見積書・発注書・請求書など10種類 郵送代行・セキュア送信・PDF一括送付が可能 銀行口座と連携し自動で請求書の呼出しと入金消込ができる |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | プランにより変動あり |
| 無料トライアル | 〇(30日間) |
編集部コメント
MakeLeapsは、低価格でスタートできるのに機能が豊富であるとの評価を得ている請求管理システムです。
販売や会計、顧客など各業務の外部システムとの連携実績が多いため、既存システムの入替えや変更にかかわる費用や時間を最低限に抑えることができます。
その他、承認・権限・操作履歴の管理や書類のタグ付け、口座振替連携やカード決済など機能は多種多様です。
システム自体の連携機能と外部システムとの連携による相乗効果で、見積と請求、入金の管理が統一できるため無駄やミスが大幅に削減できます。
楽楽明細:請求書の電子化にシフトしたいと考えている企業向け

楽楽明細のおすすめポイント
- 導入実績10,000社以上の電子請求書発行シェアNo.1のシステム
- 請求書、納品書、支払明細などを自動で取引先まで届ける
- 業務フローは変えずに「印刷・封入・発送」をゼロにして手間とミスを削減
| 機能・できること | 請求書や納品書などの帳票レイアウトを自由自在に設定できる メールアドレス収集機能と宛先まとめ機能、一括同封機能 即時発行/予約発行、差し替え/修正機能も簡単に実行できる |
| 初期費用 | 100,000円~ |
| 月額費用 | 24,000円~ |
| 無料トライアル | 〇 |
編集部コメント
楽楽明細の高評価のポイントは、コストパフォーマンスの高さと、帳簿や顧客の管理をする際の一覧性が高くキーワードによる絞り込みができる点を挙げることができます。
また、システム自体の機能性と同様に、営業担当者の対応の高さを評価する声も多いです。
電子請求書発行のメリットは、郵送費や印刷代の削減とともに、在宅ワークでも請求書業務が完結できることにあります。
楽楽明細では、このようなメリットを現状のフローをできる限り変えないで実現できる対応がサービスと営業面双方で行き届いています。
経理人材不足にお悩みの企業様へ!
『Bill One請求書受領』
\ 3分でわかるBill One請求書受領 /
インボイス・電帳法対応のクラウド請求書受領サービス『Bill One請求書受領』は、請求書の受領と電子データ化(スキャン)を代行、経理業務の省人化に活用できます。
申請/承認・一覧表示・仕分け入力・会計ソフト連携などの機能もあり、部署を横断する社内の請求書を一元管理することができます。
まとめ

ここまで、建設業向けの請求管理システムについて、下記の内容で解説しました。
- 建設業における請求管理の課題
- 建設業が請求管理システムを導入するメリット
- 建設業向け請求管理システムの選び方
- 【建設業向け】請求管理システムおすすめ8選
建設業の請求管理業務は、多大な手間とコストがかかり、いかに効率化しコスト削減を実現するかが課題でした。
また、時代の趨勢である建設DXの対応の一環としても、有効な請求管理システムの導入が急務となっています。
この記事では、請求管理システムのメリットや選び方を解説するとともに、数あるシステムのなかでも優れた機能とコストパフォーマンスを持つシステムを紹介しました。
自社に最適な請求管理システムを検討するための材料として少しでも役立っていれば幸いです。





