建設業法における書類の保存期間一覧|おすすめの書類の保管方法も紹介

建設業法における書類の保存期間一覧|おすすめの書類の保管方法も紹介

建設業法では、建設工事に関わる帳簿の作成と保管を建設業者の義務として定めています。

これに違反すると、10万円以下の過料が科されることもあります。 

そのため、建設業者は適切な書類の作成はもとより、作成した書類を定められた期間にわたり適正に保管しなければなりません。 

建設業法に基づいた書類保管の概要、書類の種別ごとの保存期間について解説します。

また併せて、書類保存のコツと方法についても説明します。

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目次

【建設業法】書類の保存期間一覧

【建設業法】書類の保存期間一覧

建設業法第40条の3には、以下のような条文があります。 

(帳簿の備付け等)
建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるもの【規則26条1項】を記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるもの【規則26条5項】を保存しなければならない。 

引用元:建設業法令遵守ガイドライン(第11版)

国土交通省令とは、建設業法施行規則のことを指し、「規則26条」では帳簿の記載事項や記載方法などについて規定しています。

各書類の具体的な保存期間を規定しているのは、建設業法施行規則、安衛則、厚生労働省令(クレーン則や有機則、鉄則他)などです。 

また、第55条には、規定に違反した者は10万円以下の過料に処すると規定されています。

 このように建設業の書類は建設業法で記載内容や記載方法、保存期間が規定されているので、その内容を把握して適切に対応する必要があります。

その他、建設業者には書類保存の義務がある

建設業者の書類保存の義務については、「帳簿」と「営業」という2つのカテゴリーに分けて整理するのが一般的です。

帳簿と営業それぞれについて、保存期間の概要と記載すべき内容などについて説明します。

帳簿の保存期間:5年

建設業法では、すべての建設業者は請負った建設工事の帳簿を作成し、添付書類とともに5年間保管する義務があるとしています。 

この場合の帳簿とは、建設工事に係わる情報を記載した帳簿であり、会計上の帳簿とは違います。

帳簿に記載すべき内容

帳簿に記載すべき内容と留意すべき注意事項は以下の通りです。 

1.営業所の代表者の氏名・就任年月日 

2.注文者と締結した建設工事の請負契約に関する次の事項
1)請け負った建設工事の名称と現場所在地
2)注文者との契約締結日
3)注文者の商号・所在地(注文者が建設業者のときは、許可番号)
4)注文者から受けた完成検査の年月日
5)工事目的物を注文者に引き渡した年月日 

3.下請契約に関する事項
1)下請負人に請け負わせた建設工事の名称と現場所在地
2)下請負人との契約締結日
3)下請負人の商号・所在地(下請負人が建設業者のときは、許可番号)
4)下請工事の完成を確認するために自社が行った検査の年月日
5)下請工事の目的物について、下請業者から引き渡しを受けた年月日 

留意すべき注意事項1
特定建設業の許可を受けている者が注文者(元請工事に限らない。)となって、一般建設業者(資本金が4,000万円以上の法人企業を除く。)に建設工事を下請負した場合は、以下の事項についても記載が必要です。
1)支払った下請代金の額、支払った年月日及び支払手段
2)支払手形を交付したときは、その手形の金額、交付年月日、手形の満期
3)代金の一部を支払ったときは、その後の下請代金の支払残額
4)遅延利息の額・支払日(下請負人からの引き渡しの申出から50日を経過した場合に発生する遅延利息(年14.6%)の支払いに係るもの) 

留意すべき注意事項2
発注者(宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引業者を除く。)と住宅を新築する建設工事の請負契約を締結した場合には、以下の事項についても記載が必要です。
1)当該住宅の床面積
2)当該住宅の請負契約が、発注者と二以上の建設業者との間で締結された場合は、建設瑕疵負担割合
3)当該住宅について、保険法人と住宅建設瑕疵担保責任保険契約を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を発注者に交付しているときは、保険法人の名称

帳簿に添付すべき書類

1.契約書又はその写し 

2.特定建設業の許可を受けている者が注文者(元請工事に限らない。)となって、一般建設業者(資本金が4,000万円以上の法人企業を除く。)に建設工事を下請負した場合には、下請代金の支払済額、支払った年月日及び支払手段を証明する書類(領収書等)又はその写し

 3.建設業者が施工体制台帳を作成したときは(元請工事に限る。)、工事現場に据え付ける施工体制台帳の以下の部分。
<工事完了後に施工体制台帳から必要な部分のみを抜粋>
1)当該工事に関し、実際に工事現場に置いた監理技術者の氏名と、その者が有する監理技術者資格
2)監理技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名と、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格
3)下請負人(末端までの全業者を指しています。以下同じ。)の商号・名称、許可番号
4)下請負人に請け負わせた建設工事の内容、工期
5)下請業者が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名と、その者の主任技術者資格
6)下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名と、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格

※書類の添付に代えて、スキャナによる読み取りなどの電磁記録による保存も可能

営業に関する図書:10年 

建設工事の営業に関する図書とは、完成図、発注者との打合せ記録、施工体系図などのことで、工事の竣工・引渡しから10年間の保存が義務付けられています。

この営業に関する図書の保存義務があるのは元請け業者です。 

<営業に関する図書>

1.完成図|工事目的物の完成時の状況を表した完成図
2.発注者との打合せ記録|打合せの方法に関係なく発注者と相互にやり取りした記録
3.施工体系図|重層化した下請構造の全体図が明らかとなっているもの 

※施工体制台帳の作成対象工事以外の工事での元請業者は、上記1と2を保存
※各書類は、電磁記録による保存も可能

建設業書類の保存期間一覧

建設工事に係わる書類の保存期間を書類の種別ごとに整理しましたので、書類を保存するときの参考にしてください。 

保存期間書類の種別
3年 安全衛生委員会議事録、特別教育の記録、騒音測定記録、クレーン過負荷、制限特例記録、デリック過負荷、制限特例記録、クレーン点検記録、デリック点検記録、エレベーター点検記録、移動式クレーン点検記録、簡易リフト、点検記録、建設用リフト、点検記録、有機溶剤作業環境測定記録、有機溶剤、作業環境、測定結果の評価記録、鉛作業環境測定記録、鉛作業環境測定結果の評価記録、特定化学物質用局所排気装置、除じん装置、排ガス処理装置、廃液処理装置点検記録、特定化学設備またはその付属設備点検記録、特定化学物質作業環境測定記録、特定化学物質作業環境測定結果の評価記録、酸素欠乏危険作業場所環境測定記録、粉じん用局所排気装置および除じん装置点検記録 
5年 帳簿帳簿の添付書類(契約書、下請負人に支払った下請代金の額、支払年月日および支払手段を証明する書類またはその写し、施工体制台帳)、健康診断個人票、有機溶剤健康診断、個人票鉛健康診断、個人票四アルキル鉛健康診断、個人票特定化学物質等健康診断、個人票(特別管理物質は30年間)、放射性物質濃度測定記録 
7年 粉じん作業環境測定記録、粉じん作業環境測定結果の評価記録 
10年 営業に関する図書(工事内容に関する発注者との打ち合わせ記録、完成図、施工体系図) 
15年 設計図書(配置図、各階平面図、二面以上の立面図、二面以上の断面図、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、構造詳細図、構造計算書その他、工事監理報告書など) 
30年 特別管理物質製造取扱作業記録、特定化学物質等健康診断個人票(特別管理物質のみ)、電離放射線健康診断個人票 
保存義務なし 衛生日誌・衛生管理者の職務上(巡視など)の記録、産業医の職務上(巡視など)の記録 

建設業における書類の保存のコツ

建設業における書類の保存のコツ

建設業において、書類ごとの保存期間を把握して適切に保存することのメリットは大きいです。

特に工事情報の電子化を行うことで、法令遵守はもとより、業務の効率化や属人化の防止、過去工事の振り返りなどをスムーズに行うことができるようになります。 

建設業における書類の保存のコツを以下の3つのポイントに集約して解説します。

  • 案件別・保存期間別に分類する
  • 情報共有と検索性を高める
  • 書類管理システムの導入

案件別・保存期間別に分類する

一般的に建設業の書類は、まず案件ごとにファイルやフォルダにまとめて保存します。

案件名と工期を明記したラベルを見やすい位置に貼り付けてください。 

それから、さらに保存期間別にしていくのが一般的です。

3年、5年、10年と保存期間別に書類を分類し、あとから検索しやすいようにします。 

特に重要と思われる書類は、きちんとセキュリティ対策がなされている場所に保管しなければなりません。

情報共有と検索性を高める 

建設会社にとって建設現場は生命線であり、それは事務方にとっても同様です。

建設業の書類は適切に保存され、現場技術者や事務方が、いつでも必要に応じて確認できることが求められます。 

事務方は保存された書類を基に、税務署や会計事務所に提出する書類を作成することがありますし、現場技術者は過去工事から施工方法や工事条件の参考にすべき情報を検索することがあるからです。 

建設業法で保存期間が定められているという理由だけでなく、業務の効率化のためにも、現場と事務方双方がスムーズに確認できる適切な書類の保存が必要です。

書類管理システムの導入

建設業の書類保存を効率化して書類の紛失や破損を回避し、情報共有やセキュリティ対策も万全にするために、ぜひ導入をおすすめしたいのが書類管理システムの導入です。 

書類管理システムを導入すれば、工事情報はデータベース化されて必要な情報がすぐに検索できて、印刷代や用紙代というコストを削減できます。 

紙での書類保管スペースが必要なくなるということは、想定外の災害や事故によるリスクの低減にも繋がります。

建設業における書類の保存方法

建設業における書類の保存方法

建設工事は、市民の安全で快適な生活に直結する重要な工事です。

そのため高い技術基準や透明性が必要であり、それを証明し記録する書類は他産業に比べて格段に多くなります。 

建設業における書類の保存方法について、以下の2つのポイントで説明します。 

  • 紙媒体
  • 電子

紙媒体

これまで、建設業における書類の保存はエクセルなどのツールで作成し、紙で印刷して管理・保存するのが一般的でした。

建設会社は、複数の現場を同時進行で施工することも多く、紙での保存は印刷コストや保管スペースなどの確保が問題になってきました。 

また、紙の保存では資料が破損しやすく、紛失の可能性も高いです。

過去工事の特定部分を確認したいときの検索も大変な手間と時間がかかってしまいます。 

そのため、多くの建設会社が紙から電子への変更を行っているのが現状です。

電子

紙での保存から電子に移行することで、ペーパーレス化による大幅なコスト削減と現場実務の効率化による業務の生産性の向上が可能になります。 

電子データの保存にはいくつかパターンがあります。

手書き書類をスキャンデータやPDFデータにする、エクセルやワードで作成して電子データとして保存する、スマホやタブレットにアプリを導入して直接入力するなどです。 

クラウドサービスを活用すれば、ID登録者は誰でもどこでもアクセス可能になり、リアルタイムで工事情報への閲覧や編集、保存が可能になります。 

指定したキーワードによる過去の工事情報の検索も容易に行うことができるようになり、保管スペース確保も必要なくなります。

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まとめ

まとめ

建設業の書類は他業種に比べると格段に多く、書類の種類により保存期間に違いがあるという難しさもあります。

書類の作成や保存に多大な労力と時間、コストを費やしていたのが現状でしょう。 

この面倒な書類管理を効率化するのが、書類管理システムです。

特におすすめなのは、建設業の専門性や特殊性にも対応できるシステムです。 

現在、さまざま機能や特色をもった書類管理システムが流通しています。

各システムの内容を確認し、いくつか候補を選ぶことからスタートすることが、自社にぴったり合った書類管理システムと出会うことに繋がります。

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