【アスベスト調査報告の義務化】対象工事や費用についても解説

【アスベスト調査報告の義務化】対象工事や費用についても解説

2020年からアスベストの事前調査は義務化されており、2022年4月より、調査結果の報告が義務化されます。

調査結果の義務化に伴い、アスベスト工事に関する内容を詳しく把握したいという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、次の内容を詳しく解説しています。

  • アスベスト報告の義務化について
  • アスベスト調査報告の対象工事や免除工事
  • アスベスト調査報告の調査手順
  • アスベスト除去工事の手順や必要書類
  • アスベスト調査・除去工事に必要な金額や補助制度

原則、すべての解体・改修工事に関わる企業に関係するため、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

アスベスト調査報告の義務化とは

アスベスト(石綿)とは、自然界にある「繊維状けい酸塩鉱物」で「せきめん」「いしわた」と呼ばれています。

法規制の対象となるのは、下記の通りです。

  • アクチノライト
  • アモサイト
  • アンソフィライト
  • クリソタイル
  • クロシドライト
  • トレモライト

アスベストの繊維は、じん肺や悪性中皮腫の原因になると言われ、肺がんを引き起こす可能性が指摘されています。

アスベストによる健康被害は、アスベストを吸引し、年月が経過してからでてきます。

そのため、建築物や工作物の解体・改修工事を行う際には、法令に基づきアスベスト調査の義務化が決定されました。

アスベスト調査報告の義務化はいつから

アスベストの事前調査は2020年より義務化されていましたが、法改正により、2022年4月1日から調査結果の報告の義務化が適用されています。

アスベスト調査義務化の対象工事

アスベスト調査義務化の対象工事

アスベストの事前調査は、原則すべての工事が対象となります。

この章では、下記の内容について詳しく解説します。

  • アスベスト調査結果の報告が必要な工事
  • アスベスト調査結果の報告が不要な工事
  • アスベスト調査の事前調査報告を怠った際の罰則

解体・改修工事業者の方は、ぜひ参考にしてください。

アスベスト調査結果の報告が必要な工事

アスベスト調査結果の報告が必要な工事は、次の4つです。

  1. 解体部分の床面積が80㎡の解体工事
  2. 請負金額が税込100面円以上の改修工事
  3. 請負金額が税込100万円以上の特定の工作物の解体・改修工事
  4. 総トン数が20トン以上の船舶(鋼製のものに限る)の解体または改修工事

参照:石綿総合情報ポータルサイト

また、アスベストの有無にかかわらず、上記に該当する場合には報告が必要です。

アスベスト調査結果の報告が不要な工事

アスベスト調査結果の報告が不要な工事の一例を下記にて紹介します。

  • 床面積の合計が10平方メートルの小屋の解体工事で、請負代金が300万円のもの(解体工事については面積のみで判断されるため)
  • 床面積の合計が300平方メートルの建築物の給湯器の交換工事で、請負代金の合計金額が50万円のもの(改造・補修工事については、請負代金のみで判断されるため)
  • 請負代金120万円の改修工事で、その費用にアスベストの事前調査費用の30万円が含まれるもの(請負代金にはアスベストの事前調査費用を含まないため)

ただし、報告が不要な工事でも着工前にアスベスト調査を行い、発注者に書面での報告をする必要があります。

アスベスト調査の事前調査報告を怠った際の罰則

アスベストの事前調査報告を怠った際や虚偽の報告をした場合は、30万円以下の罰金が適用されます。

また、アスベスト除去などの措置義務に違反すると、3月以下の懲役または30万円以下の罰金が適用されます。

アスベスト調査報告の手順

アスベスト調査報告の手順

アスベスト調査は、次の流れで進みます。

  1. 専門家に依頼
  2. 書面及び現地調査
  3. 報告書の作成

専門家に依頼

アスベストの事前調査には、下記で紹介する資格や経験を有している専門家に依頼します。

  • 一般社団法人日本アスベスト調査診断協会の登録者
  • アスベスト作業主任者
  • 建築物アスベスト含有建材調査者

上記に加え、2023年10月からは、厚生労働省が実施するアスベスト調査の講習を修了していることが条件です。

書面及び現地調査

専門家に依頼すると書面調査と現地調査に移ります。

現地で採取したアスベストの分析を行いアスベスト含有量を計測します。

建物の設計図面では把握できないケースも多いため、部屋ごとに状況を確認することが大切です。

報告書の作成

書面及び現地調査の結果をもとに、報告書を作成します。

作成した報告書は労働基準監督署や各自治体に提出します。

報告書の提出は、工事開始の14日前までに出さなければならないため注意してください。

なお、作成した報告書は3年間の保存義務が設けられています。

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アスベスト除去工事の手順

アスベスト除去工事の手順

実際にアスベスト除去工事をする際の主な手順を紹介します。

  1. 近隣店舗・住民などへの説明
  2. アスベスト除去工事
  3. 行政への報告

近隣店舗・住民などへの説明

まずは近隣店舗・住民などへの説明からスタートします。

工事の監督者は、アスベスト除去工事の内容や注意点について詳しく説明する義務があります。

後々のトラブルを避けるためにも、丁寧に説明することが大切です。

アスベスト除去工事

アスベスト除去工事をする際に必要な足場の設置や養生などの下準備ができたら、工事をスタートします。

アスベスト除去工事には、近隣住民や作業者の健康被害を考え、国土交通省で定められた作業レベルに応じた対策が必要です。

作業レベルは1〜3段階にわけられており、小さい数字ほど危険性が高く、健康被害を及ぼす可能性が高くなります。

またアスベスト除去工事で排出されたものは、特別管理産業廃棄物として廃棄します。

他の廃棄物と混同しないように注意しましょう。

行政への報告

アスベスト事前調査の結果や作業計画書、施工写真、廃棄物マニフェストなどをすべて報告書としてまとめ、所轄官公庁へ工事完了を報告します。

上記で提出した記録は、3年間保管しなければなりません。

アスベスト除去工事に必要な書類

アスベスト除去工事に必要な書類

アスベスト除去工事には、事前に提出する書類が3つあります。

  1. 工事計画届出書
  2. 特定粉じん排出等作業実施届出書
  3. 建築物解体等届出書

上記で紹介した書類には提出期限がありますので、下記を参考にしてください。

書類名届出先と期限
工事計画届出書労働基準監督署へ作業の14日前に届出
特定粉じん排出等作業実施届出書各都道府県知事へ作業の14日前に届出
建築物解体等届出書労働基準監督署へ作業日までに届出

また、各自治体の条例に応じた届出が必要な場合もあるため、詳しくは自治体にご確認ください。

アスベスト調査・除去にかかる費用と補助金

アスベスト調査・除去にかかる費用と補助金

アスベスト調査・除去にかかる費用と補助金制度について説明します。

国土交通省が2002年7月から2005年6月までの施工実績をもとにした、アスベスト除去1㎡当たり費用相場は、次の通りです。

処理面積費用相場
処理面積300㎡未満2万/㎡〜6万円/㎡
処理面積300㎡〜1,000㎡1万5,000/㎡〜4万円/㎡
処理面積1,000㎡以上1万/㎡〜2万5,000円/㎡

上記の金額には、事前調査から除去工事にかかるすべての費用が含まれています。

アスベスト調査に対する補助制度

アスベスト調査に対して給付される補助金があり、支給条件は次の通りです。

  • 補助金事業の対象:建築物の吹付け材アスベスト含有の有無に関する調査
  • 対象建築物:吹付けアスベストなどの可能性がある建築物
  • 補助額:限度額は原則として1棟につき25万円

参照:石綿ポータルサイト「補助金制度」

ただし、自治体によって支給条件や支給額などが変動するため、各自治体に確認しましょう。

アスベスト除去工事に対する補助制度

アスベスト除去工事に対する補助制度も設けられています。

国が明示している支給条件は、次の通りです。

  • 補助金事業の対象:アスベストの除去・封じ込め・囲い込み工事
  • 対象建築物:吹付けアスベスト・アスベスト含有吹付けロックウールが使用されている可能性がある建築物
  • 補助額:地方公共団体の補助額の1/2以内(かつ全体の1/3以内)

参照:石綿ポータルサイト「補助金制度」

アスベスト除去工事にも補助制度が適用されており、自治体によって申請方法や支給額が変動します。

工事をはじめる前には、自治体への事前確認が必須です。

まとめ

まとめ

2022年4月1日からアスベスト調査結果の報告が義務化されました。

報告を怠った場合や虚偽の申告をした場合、30万円以下の罰金を払う必要があります。

アスベストは健康を害する物質ですので、事前調査はもちろんのこと、工事を行う場合も近隣店舗・住民への伝達は必ず行うようにしましょう。

これからアスベストの事前調査や除去工事を行う際は、補助制度も活用し、工事を円滑に進めていきましょう。

補助制度は、各自治体により申請方法や補助金額が異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

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