厚生労働省が提示している、混在作業における安全管理のための指針として作業間の連絡調整は実施されています。
作業間の連絡調整として活用されているのが「作業間連絡調整書」です。
これから作業間連絡調整書を作成する場合、下記の内容が気になるのではないでしょうか。
- 作業間連絡調整書の概要
- 作業間連絡調整書の書き方や注意点は?
この記事では、作業間連絡調整書の基本から記入例をもとにした書き方、注意点を徹底解説しています。
初めて作業間連絡調整書を記入する方でもわかりやすいように解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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作業間の連絡調整とは
建設現場の多くは協力会社・下請け業社などが作業を実施しているため、工事の進み具合に伴い作業内容や危険箇所が日々変化します。
混在作業による労働災害防止を図るため、各業者間での連絡を密に実施するために作業間の連絡及び調整が必要と、労働安全衛生法で定められています。(労働安全衛生法第30条の2項)
作業間の連絡調整は、毎日の全体朝礼後もしくは、協力会社が翌日の工程を確認する昼礼で行うのが一般的です。
なお、作業間の連絡調整は下記の流れで進めている現場が多くあります。
- 業者ごとの作業内容を確認する
- 作業内容の段取りを把握する
- 混在作業による労働災害を防止するための段取りを調整する
- 調整した段取りを業者ごとに指示する
労働災害の発生を防止するために、現場に関わる業者が常に危険箇所を把握し、作業の注意点や注意事項を周知徹底するための安全書類が「作業間連絡調整書」です。
現場によっては、安全工程打合せ書や安全衛生指示書などとも呼ばれています。
作業間連絡調整書の記入例・書き方
作業間連絡調整書には特定の様式はありませんが、「【全建統一参考様式 第5号】作業間連絡調整書」を利用することが推奨されています。
今回は「【全建統一参考様式 第5号】作業間連絡調整書」を例に、下記の順で解説します。
- 基本事項の入力
- 協力会社情報の入力
- 作業内容・危険予測
- 確認点検欄
- 朝礼時・周知・指示事項及び混在作業
- 行事・パトロール・搬入・その他
- 巡視記録
基本事項の入力
統括安全責任者や打ち合わせ日などの基本事項を入力します。
今回の様式で記入するべき基本事項は下記の通りです。
- 統括安責任者(作業所長)
- 元方安全
- 記録者
- 安全当番
- 打合日
- 実作業日
- 月間重点安全衛生実施事項
- 週間重点安全衛生実施事項
重点安全衛生実施事項については、各現場で定めている目標を記入します。
協力会社情報の入力
次に協力会社情報を入力します。
現場に従事してくれる協力会社名・職種・作業人数を記入し、危険作業の名称と各種資格を記入します。
資格の名称は、下記資格番号抜粋に該当する番号を記入してください。
作業内容・危険予測
当日行う作業内容の詳細を記入します。
作業内容には「地山の掘削作業」「移動式クレーンを利用した玉掛け作業」「コンクリート打設」など、実際に行う作業内容を簡潔にわかりやすく記入します。
作業内容を記載するポイントとして、利用する建設機械や工具を記入すると具体性が高くなるのでおすすめです。
危険予測は作業内容に対して、安全衛生・品質・環境指示項目のなかで該当する事項を記入します。
移動式クレーンを利用した玉掛け作業を例に出すと、「玉掛け作業時は荷物の下に入らない」など、作業内容に対する危険予測を記入することが一般的です。
確認点検欄
確認点検欄では、作業内容に対する危険予測が実施されているかを確認したり、是正箇所の指摘や処置をしたりする項目です。
実施の確認が取れた場合や是正指示がある場合は、確認日と確認者の名前を記入します。
是正指示がある場合は速やかに該当箇所を修正し、危険のない現場作りを進めてください。
朝礼時の周知・指示事項及び混在作業
朝礼時に周知や指示事項がある場合は、安全作業を行うための連絡事項として箇条書きで記入してください。
他業者との混在作業や調整事項がある場合も、箇条書きで整理して記入しましょう。
行事・パトロール・搬入・その他
依頼主による視察や現場パトロール、重機の搬入などがあれば記入する項目です。
記入することで、現場従事者が常に危険箇所を把握し、作業の注意点や注意事項の周知徹底に努められます。
巡視記録
統括安全責任者や作業所長が作業場所を巡視した際に記入する項目です。
時間と巡視した内容を記入し、是正箇所があるかどうかの確認を行います。
是正処理や報告が必要な場合は記入し、確認をもらう必要があります。
作業間連絡調整書作成時の注意点
作業間連絡調整書を作成する際の注意点について、下記の順に解説します。
- 5W1Hを意識して作成する
- 実施項目を具体的に記載する
- 作業における危険予測を明確に行う
上記の注意点を守ることで効果的な作業間連絡調整書の作成ができ、現場の安全性向上に貢献できます。
5W1Hを意識して作成する
作業間連絡調整書は、元請会社や協力会社、自社作業員など多数が閲覧する資料です。
資料を作成する際には、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識することが求められます。
読み手がわかりにくい資料を作成することで、認識のズレが起こり、作業に危険が及ぶ可能性が高くなるでしょう。
5W1Hを活用することで情報を的確に整理でき、読み手が重要なポイントを把握しやすくなり、円滑な作業に貢献できます。
実施項目を具体的に記入する
作業間連絡調整書の作成で注意するポイントは、該当する実施項目を具体的に記入することです。
具体的に記入しておくことで、作業中の連絡調整や作業指示の徹底を図ることができ、思い込みや不注意などによるヒューマンエラー防止につながります。
とくに、安全に関わる作業内容・危険予測の項目を明確かつ具体的に記入しておきましょう。
作業内容における危険予測を複数記入しておく
危険予測の項目は、安全衛生面・品質面・環境面の3つの視点で記入できます。
作業内容に対し、3つの視点から考えられる危険予測を複数記入しておくことが重要です。
地山の掘削作業を例にだすと、下記の項目が危険予測として考えられます。
「重機の近くに立ち寄らない」「掘削箇所付近の地盤は安定しているのか」「近隣住民の対策を施しているのか」など、1つの作業内容に対してさまざまな視点での危険予測が立てられます。
複数記入しておくことで、作業者がリスクを認識してくれるため、安全かつ効率的に作業を進めることが可能です。
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まとめ
作業間連絡調整は、建設現場における安全と効率を確立するための重要な業務の一環です。
作業間の連絡調整は日々の朝礼や昼礼後に開催している現場が多く、作業間連絡調整書を記入し報告している会社も多いのではないでしょうか。
記入する際は、下記のポイントを意識することでわかりやすい資料作成ができるでしょう。
- 5W1Hを反映させる
- 具体的な作業内容を記載する
- 複数の視点で危険予測を行う
危険作業が多い建築業界だからこそ、作業間の連絡調整を実施し、現場の安全性向上に役立ててみてはいかがでしょうか。