近年、建設業界でもドローンを活用している現場が増えている傾向です。
これからドローンの導入を検討している企業は、次の内容が気になるのではないでしょうか。
- ドローンの活用方法
- 補助金は利用できるのか
- 実際に導入している企業の声は?
- 導入する際の注意点が知りたい
この記事では、建設業界のドローン活用方法から該当する補助金はもちろんのこと、導入事例や注意点を幅広く解説しています。
また、ドローンの選び方やおすすめの機種を紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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建設業界でもドローンは活躍中
建設業界のドローンは、3次元測量や写真撮影などさまざまな用途で活躍しています。
2015年に国土交通省が発表した「i-Construction」がドローンの普及に影響を与えています。
i-Constructionとは、建設業における新基準として、ICTの活用を前提とした生産性の向上を目指したものです。
建設業界は、現地調査・設計・測量・施工などの作業があり、ICT技術を活用していく流れが浸透してきています。
そのなかの一つとして、ドローンを活用した3次元測量や写真撮影、現場調査などが挙げられます。
工事を始める前に実施する現地調査や測量では、山中や道がない場所に測量機器をもって調査を行うため、滑落や骨折の事故が珍しくありません。
ドローンを利用することで人が入りにくい場所でも測量ができ、事故の軽減にもつながります。
ドローン導入で建設業も補助金が貰える
産業用ドローンの購入費は、50〜300万円が相場と言われており、導入後のメンテナンスや点検も必要となることから、導入を控えている企業も多いのではないでしょうか。
コスト面からドローンの導入を見送っている企業は、補助金を利用することで費用を抑えられます。
ドローンの導入で適用される補助金は、次のとおりです。
補助金名 | 補助金額 | 要件 | どのような企業向けか |
---|---|---|---|
ものづくり補助金 | 1,250万円未満 | 中小企業・小規模事業者 | 1,500万以下でドローンや関連ソフトウェアの購入を検討している企業 |
小規模事業者持続化補助金 | 200万円以下 | 小規事業者(法人・個人事業・特定非営利法人) | 小額でドローンを導入したい企業 |
事業再構築補助金 | 8,000万円以下 | 中小企業 | 新規分野へ参入する企業や事業再構築を検討している企業 |
IT導入補助金 | 450万円以下 | 中小企業・小規模事業者 | ドローン活用に必要なソフトウェアの購入・契約を検討している企業 |
紹介した補助金制度は、対象年度により条件が変わるケースがあるため注意してください。
建設業界におけるドローンの活用方法
建設業界で活躍しているドローンの代表的な活用方法を3つ紹介します。
施工管理
ドローンを活用することで、ダムやトンネル、高層ビルなどの大規模工事の進捗状況を容易に確認できます。
従来の施工管理は、工事状況を把握するたびに現場を訪れる必要がありました。
そのため、現場監督は事務所と現場の移動により、多くの時間を取られてしまいます。
また、日中は現場と事務所の移動で時間を取られ、図面や写真整理を夕刻から始めることで、残業が当たり前になっている現場監督が少なくないのが現状です。
ドローンを利用すれば、アップロードされた写真を見るだけで、事務所に居ながら現場の様子を把握できるようになります。
そのため、現場監督が事務所と現場を往復する必要がなくなり、移動する負担を軽減できます。
点検・メンテナンス
ドローンの活用により、ビルやインフラ設備の点検・メンテナンス作業を安全かつ効率的に実施できます。
従来は、人が目視をするために外壁や屋根を点検する際は、足場を組み立てたりはしごを利用したりしていました。
しかし、足場を組み立てる費用や時間を要したうえ、事故の危険もつきものです。
ドローンを活用すれば、地上から安全に点検作業を実施でき、安全性はもちろんのこと作業効率も格段に上がります。
さらには、少ない人員で点検作業を実施できるので、大幅なコストの削減にもつながります。
測量
従来の方法では、測量機器を持ち歩きながら工事現場の隅から隅まで歩き回る必要がありました。
新たに道路を作る工事であれば、森林や山林を歩く必要があり、測量するだけでも相当な時間を要する場合もあります。
しかし、上空を飛行できるドローンを活用することで、「測量時間の短縮」「安全な測量」などの利点が得られます。
また、航空機を利用する測量もドローンでまかなうことができることもポイントのひとつです。
建設業界におけるドローンの導入事例
実際にドローンを活用している企業の導入事例を紹介します。
【清水建設株式会社】
ドローンを使用することで、施工前の道路の混雑状況の定量的な測定を、空撮写真を使用することで非常に簡単に実現することができました。また工事の主目的である渋滞低減が想定どおりに実現されたかどうかを、工事終了3-4年後に改めて写真を撮影し比較することによって確認することもできます。
工事期間中にも、工事現場を俯瞰した写真を使用することで進捗が一目で分かるようになり、定例会議において発注者に対する進捗報告が円滑になりました。以前は現場の撮影のための現場各所の巡回していましたが、その作業も不要になり、また発注者が工事現場を巡回するための時間の削減にも繋がりました。
他にも空撮画像と図面を比較し、工事線形が図面通りかどうかといった、工事の正確性を検証することができるほか、土地収用の際に利害関係者へ説明に写真を活用し視覚的な交渉を行うこともできるようになりました。
引用元:株式会社CLUE公式HP
【国土交通省(道路局)】
・橋梁等の定期点検において、人の近接目視と同等の診断が可能な技術を活用できるよう、 平成31年2月に定期点検要領を改定し、2巡目点検から点検支援技術としてドローン等を活用。
・定期点検にドローンを活用することで、橋梁点検車の利用が不要となり、通行規制の必要が無くなる等、道路利用者の利便性向上や点検のコスト縮減に寄与。
引用元:国土交通省のドローン活用事例
【株式会社大林組】
建設現場および既存インフラの巡視、点検、計測、異常検知を自動で行うことができ、建設現場監理者の日常的な管理業務を大幅に削減できました。具体的には、従来であれば工事事務所からの移動時間も含めて345分かかる業務を、本システムを使えば60分で実施可能となり、80%の削減ができることを確認しました。
引用元:株式会社大林組公式HP
建設現場で導入するドローンの選び方
建設現場で導入するドローンの選び方は、次を参考にしてください。
- カメラ性能
- 飛行性能
- 障害物回避性能
上記の順に見ていきましょう。
カメラ性能
建設業界でドローンを利用するなら、搭載しているカメラ性能に注目する必要があります。
カメラの解像度には、HD(1280×720)・フルHD(1920×1080)・4K(4096×2160)などがあり、解像度が高くなるにつれて高画質で綺麗に映ります。
空撮時での撮影や目視によるチェックをドローンで代行するケースを考えると、できる限り高解像度のものがよいでしょう。
ただし、解像度が高くなるにつれてドローン本体の値段が高くなったり、データが重くなったりするケースがあるので注意してください。
ドローンの利用シーンをイメージし、必要なカメラ性能を考えることで適正なドローンが見つかるでしょう。
飛行性能
飛行性能の高いドローンは、「飛行範囲が広い」「同じ位置での待機が可能」など、操縦者の技術は必要とせず、誰でも利用できることが特徴です。
また、GPS機能が搭載されているドローンは、自分が飛行している場所の把握ができ、風が吹いたときでも元にいた場所へ自動で修正します。
飛行性能はドローン本体の大きさはもちろん、メーカーによってもさまざまあります。
どの程度飛行させるのかを明確にしておくと、必要な飛行性能が導かれるでしょう。
障害物回避性能
障害物への衝突を避けて飛行できるよう、障害物検知センサーを搭載したドローンは珍しくありません。
障害物検知センサーとは、ドローンと周囲の障害物の距離を一定に保ってくれる機能です。
ドローン利用時の事故を防ぐためにも、障害物を検知するセンサー数の確認が必須です。
前方だけではなく、左右や後方など、できる限り多くのセンサーを搭載している機種が望ましいでしょう。
【建設業向け】おすすめドローン3選
建設業でドローンを導入する場合は、利用する目的や写真精度などにより選ぶドローンが異なります。
また、業務で使う場合は万が一に備えてメイン機体と予備機体を準備しておくと安心です。
今回は、ドローンメーカーのなかでも世界一位のシェア率を誇る「DJI」から3選紹介します。
今回紹介したドローンの価格は、購入する販売店により差異があるため、参考程度として利用してください。
Matrice 350 RTK:産業用ドローンの決定版
Matrice 350 RTKは、優れた飛行性能でさまざまな業務を遂行してくれる産業用ドローンです。
主な仕様は下記の通りです。
- 最大飛行時間:55分
- 最大飛行高度:7,000m
- 最大風圧抵抗:12m/s
- 動作環境温度:-20℃〜50℃
- 保護等級:IP55
Matrice 350 RTKは、高い防水・防塵性能、風速12mまで耐えられる飛行性能をもち、安定した受信機能により長距離飛行ができます。
また、6方向検知システムと赤外線検知システムを搭載しており、障害物の多い環境でも安全に高画質の撮影ができます。
Matrice 350 RTKの販売価格は税込1,0770500円です。
天候や気温、飛行環境に左右されずに利用できるドローンなため、高機能なドローンの購入を検討している企業におすすめです。
Phantom 4 RTK:写真撮影に特化したドローン
Phantom 4 RTKは、高精度な写真測量のために設計されたドローンです。
センチレベルでの正確性を誇る測位システムを搭載しているので、調査精度の高い結果を提供してくれます。
Phantom 4 RTKの主な仕様は下記の通りです。
- 最大飛行時間:30分
- 最大飛行高度:6,000m
- 動作環境温度:0℃〜40℃
また、1インチ2,000万画素のCMOSセンサーも搭載しているため、最高レベルの画質データで撮影できます。
Phantom 4 RTKの販売価格は税込660,000円です。
低高度での正確な地図作成ができるドローンなため、測量や写真撮影で利用するドローンを探している企業におすすめです。
Mavic 3 Enterpriseシリーズ:点検業務におすすめドローン
Mavic 3 Enterprisは、メカニカルシャッター・56倍ズーム対応カメラ・センチレベルの正確な測位を実現するシステムを搭載した、コンパクトサイズのドローンです。
またMavic 3Tでは、サーマルカメラを搭載しているので、点検や夜間業務などで活躍します。
Mavic 3 Enterpriseシリーズの主な仕様は下記の通りです。
- 最大飛行時間:45分
- 最大飛行高度:6,000m
- 動作環境温度:-10℃〜40℃
Mavic 3 Enterpriseシリーズの販売価格は税込774,400円です。
小型機でありながら高機能な性能を搭載しており、持ち運びがしやすいドローンを探している企業におすすめです。
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建設業がドローンを導入する際の注意点
ドローンは法令によってさまざまな規制が設けられています。
人口密集地域ではない場所や地上から150m未満、重要な施設から離れた場所であれば許可なくドローンの飛行が可能ですが、工事現場で利用する際にはさまざまな許可が必要となるケースが多い傾向です。
国土交通省が定めているドローンの飛行ルールについては、こちらを参考にしてください。
ドローンを導入する際の注意点は、次の3点です。
- 操縦者の熟練度は高いか
- 天候によって利用が制限される
- 騒音・落下対策が必要
操縦者の熟練度は高いか
ドローンを活用し、点検・写真撮影を行う場合、操縦者の熟練度が関わってきます。
熟練度の低い操縦者がドローンを飛行することで、時間がかかったり墜落リスクが増えたりします。
そのため、ドローンを活用する際は操縦者の熟練度を上げることが大切です。
ドローンの操縦技術を認定する民間資格も多数あるので、必要であれば民間資格の取得を検討しましょう。
天候によって利用が制限される
ドローンは風や雨に左右されるツールなため、活用する際は天候の確認が必須です。
ドローンは風の影響を直接受けるため、強風時はコントロールがきかなくなり、落下するリスクが上がります。
また、雨天時にはカメラやセンサーが正しく機能しないケースもあるため、飛行させる際は防水タイプを選択してください。
天候の変化が激しい山間部の現場で利用する際は、こまめな状況判断が求められます。
騒音・落下対策が必要
ドローンを導入する際は、騒音問題や落下による被害リスクを考えなければなりません。
とくに人口密集地での飛行は、騒音が問題となり会社へのクレームが発生する可能性もあるでしょう。
また、落下対策を徹底することも求められます。
落下を防ぐため、ドローンの整備や点検を徹底することはもちろんのこと、飛行する場所やルートを事前に確認しておくことが重要です。
操縦者が未熟なケースも落下事故が発生する可能性があるので、操縦者の熟練の向上に取り組むことも大切です。
建設業もドローンを活用しよう
建設業のICT化にともない、さまざまな企業がドローンを活用し業務改善に取り組んでいます。
ドローンの導入により、写真撮影から測量、高所点検などに活用でき、作業時間の短縮や安全確保などのメリットが得られます。
ドローンを導入する際は、利用シーンを明確にすることで必要なドローンのスペックが見えてくるでしょう。
また、ドローン導入の際は補助金を活用することでコストを抑えられるのでおすすめです。
この記事を参考に、業務改善に役立つドローンの導入を検討してみてはいかがでしょうか。