建設業の労働災害の特徴は、他産業と比較して休業4日以上の死傷者数で見ると少ないのに、死亡者数では最悪となることです。
※参照:厚生労働省|令和5年労働災害発生状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001100029.pdf
建設現場での事故は、重大事故に繋がりやすいということになります。
そのため「安全第一」というスローガンは、建設業において、より緊張感をもって取り組むべきものとなります。
この安全第一の現場を支えるのが、安全ミーティングであり、その記録となる安全ミーティング報告書です。
この記事では、安全ミーティング報告書の概要と書き方、作成時の注意点について解説します。
施工管理アプリ選びでお悩みの担当者へ
工程管理/表、タスク管理、工事写真/黒板、図面共有/管理など、
人気ツール15製品の機能・価格をまとめた比較表エクセル資料を無料プレゼント!
安全ミーティング報告書とは
安全ミーティングは、毎日行われる全体朝礼後、又は各協力会社が翌日の工程を確認しあう昼礼後に行うのが一般的です。
この安全ミーティングの内容を記録するのが「安全ミーティング報告書」となります。
安全ミーティングでは、元請会社の職員が進行役となりますが、あくまで打ち合わせの中心となるのは各協力会社の職長や安全衛生責任者です。
職長などを中心に、作業者全員で現場作業に潜む危険性や対策などを話し合います。
この話し合いでポイントとなるのが、危険予知活動(KY活動)です。
作業内容と作業に必要な建設機械や工具、作業の進捗を想定しながら、発生する恐れのある危険を予知しピックアップして危険度を評価します。
そして、そのリスクを回避するために必要なことを列挙していきます。
これらの内容を簡潔にまとめて記録するのが、安全ミーティング報告書です。
安全ミーティング報告書の記入例・書き方
安全ミーティング報告書に決められた様式はありませんが、推奨されているのは、上掲の【全建統一様式第8号】です。
この【全建統一様式第8号】を例に、安全ミーティング報告書の書き方を以下のポイントで説明します。
- 基本事項の記入
- 作業日・作業場所
- 作業内容・作業方法・作業人員
- 作業に必要な資格及び配置
- 元請からの連絡調整事項
- リスクアセスメント
- 職長の確認事項・出席者サイン
基本事項の記入
安全ミーティングを含む、一般的な報告書を書く場合のポイントは5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識することですが、ここではまず基本事項を記入します。
この報告書に記入したのは、どこの所属で、どういう立場の人なのかを明確にします。
このことについて元請会社の確認も必要です。
今回の様式では、以下の基本事項になります。
- 一次下請会社名
- 施工会社名
- 職長名
- 元請確認欄
作業日・作業場所
ここでは、「いつ、どこで」ということを記入します。
記入すべき点は以下の2つです。
- 作業日
- 作業場所
作業日は実際に作業した月日を正確に記入してください。
作業場所は、事業所名(現場名)ではなく、「基礎型枠外し」とか「1階床スラブ」など、具体的な作業箇所がわかるように記入します。
作業内容・作業方法・作業人員
ここでのポイントは、当日の作業について、わかりやすいように「誰が、何を、なぜ、どのように」を記入することです。
作業内容は、「鉄骨の吊り上げ作業」「外壁サイディングのコーティング作業」「仮止めした鉄骨の溶接」など、実際に行った作業を簡潔に記入します。
作業方法は、どのような建設機械(クレーン車や高所作業車など)を使い、どんな工具を使用したかを記入すると具体性が高くなります。
作業人員は、左側に予定の人数、右側には実際の人数を記入してください。
作業に必要な資格及び配置
作業を行う際に必要な建設機械や機器、工具などを扱うのに必要な免許や資格を明記し、有資格者を配置したことを記入してください。
また、作業を行う際に、「足場の組立て等作業主任者」や「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」などの作業主任者を配置しなければできない作業もありますので注意が必要です。
元請からの連絡調整事項
作業に先立って、元請会社から、安全作業を行うための「連絡調整事項」があった場合は、箇条書きに整理して記入してください。
リスクアセスメント
ここでは、安全ミーティングの要となる「リスクアセスメント」について説明します。
リスクアセスメントとは、作業現場において発生する恐れのある危険性や有害性を見極め、その危険度や重篤度を評価してリスクを低減させる措置を講じる手法のことです。
作業者を労働災害や健康被害から守るために、必要となる対策や優先度を確認し合う非常に重要なプロセスとなります。
まず、発生しうる危険を挙げ、考えうる対策を記入します。
- 吊り上げ中の吊り荷が落下する恐れがあるので、吊り荷の下には絶対入らない
- 足場から転落する危険があるので、必ず安全帯を装着する
- 溶接作業中の安全確保のため、手元・足元及び周囲の状況に留意する
などの内容を、危険性の項目とリスク低減措置に分けて簡潔に記入してください。
次に、発生の可能性や重篤度を、誰の目から見てもわかりやすいように数値で評価し記入します。
職長の確認事項・出席者サイン
最後に、職長は、実際にあった作業中の異変や気がついた点を記入します。
安全ミーティングの参加者は、「実施したリスクアセスメント」の危険予知番号とともに、自分の名前を自筆でサインします。
安全ミーティング報告書の作成時の注意点
安全ミーティング報告書は、適切で有意義な安全ミーティングが行われたことを記録に残す大切な書類です。
安全ミーティング報告書の作成時の注意点について、以下の内容で解説します。
- 記入事項は正確であること
- リスクアセスメントの記入のコツ
- 実際の現場を反映させる
記入事項は正確であること
記入事項については正確さが求められます。
誤字・脱字はもとより、わかりやすく簡潔であることを心がけ、作成後は必ず読み返して内容を確認してください。
報告者は、記入後、元請会社の担当者が必ず確認します。
上手い字である必要はありませんが、丁寧に書くことで記入者の真剣さが伝わるという側面があることを覚えておいてほしいです。
リスクアセスメントの記入のコツ
リスクアセスメントの流れは、以下のようになります。
- リスクを見つけ出す
- リスクを評価する
- リスクを軽減するための対策の検討
- リスク対策の実施内容
- リスク対策の評価(有効性の確認)
報告書の記入が完了したら、以上の点がきちんと網羅されているか確認してください。
これを行うだけで完成度は格段に違ってきます。
実際の現場を反映させる
リスクアセスメントは、どんな現場においても有効なものですが、それだけに通り一遍の抽象的なものになりやすいです。
大切なのは、実際の現場を反映させることです。
その日の、その現場特有の危険性は何かということに焦点をおきましょう。
また、記入者が、それまでの経験で実際に効果のあったリスク軽減措置を挙げることができれば記入者の評価は一層高まるはずです。
施工管理アプリ選びでお悩みの担当者へ
工程管理/表、タスク管理、工事写真/黒板、図面共有/管理など、
人気ツール15製品の機能・価格をまとめた比較表エクセル資料を無料プレゼント!
まとめ
安全ミーティング報告書の記入例・書き方について、以下の内容で解説してきました。
- 安全ミーティング報告書の概要
- 安全ミーティング報告書の記入例・書き方
- 安全ミーティング報告書の作成時の注意点
安全な現場は作業者一人ひとりの日々の積み重ねによって実現します。
その実現のために必要となるのが安全ミーティングと、その記録となる安全ミーティング報告書です。
安全ミーティング報告書は実際の現場状況を反映させることに焦点をおき、様式に書かれた項目が求めるものを正確に記入することに慣れれば、それほど記入の難しい書類ではないはずです。